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我が家では、明日 新年を迎える。
喪中で 年とり をしていなかったので 明日朝 村の宮司さんにお祓いをしてもらい
年とりを行う。
 
風習と言えば それまでだ。 また、風習は 気持ちの問題と言ってしまえばそれまでだ。
それでは自分の その時々の都合で 気持ちの問題だ片付け 何もしないければ其れで良いのか。

これまた、そう単純ではない。

 今年は、喪中なので 行政区の新年会や市の新年会はもちろん
 お祝い事の席には出来るだけ遠慮するようにしていた。 
新年の挨拶まわりや親戚のご年始の
挨拶も殆どない。
静かな正月だった。 また、風習と言えば それまでだが、 新年(年取り、14日の新年のご祈祷が済むまで)をむかえるまでは、暖かいお茶など 火を使った料理等の接待や 訪問先での 火を使った料理等の接待を受けないことになっている。
 
先日 菩提寺の長泉寺を訪問した際 どのような謂われから このようなことになっているのか住職に訪ねる機会があった。
住職の話しによれば、 結論から言って我が家の場合、年を取ってもいいのだという。ましてや、火を使った料理の接待を受けてもかまわないというのだ。 

それでは何故、正月の松の葉のうちに、喪中の家で 「火を交えない」 という風習が出来たか。 それは、昔は石油等の燃料がなかった時代、何処の家庭でも カマドの火を使って料理をしていた。 食べることは 生活そのもの。しかも その中心にあったのが火だった。 松の葉の期間中に 不幸があったとき、その家では、不幸(生活)を交えないということで カマドを別に用意して過ごしたという。そんなことから、そんな風習が生まれ伝わっているというのだ。
 
そのうえで、住職曰く。 毎年 年末になると 数軒の檀家さんから 年取りをしてもいいのか。
という相談があるという。
 
その時 いつも話をするのが 福沢諭吉の話をするという。

福沢諭吉は、小さい頃 親から神様を粗末にすると 罰が当たると言われて育った。自分は、そんなことは迷信だと思って ある時神棚から御札を取りだし 足で踏みつぶしたという。
それから数十年これまで生きてきたが、それが原因で体を悪くしたとか、不幸になったと思ったことなど、思ったことな一度もなかった。 しかし、それ以来 事あるごとにそのことが気になって これまで生きてきたという。 祟りや罰が当たるという事は、そういう事ではないか。と福沢諭吉がいったという。

 なるほど、なるほど 住職の話しをどう理解しどう生きるか。それぞれの考え方ひとつ。
我が家は、どうするか。 結論は、昨年亡くなった 亡き義父をしのんで 今年の正月は控える。
そう決めたのだから、出来るだけ 昔のしきたりに沿った新年を過ごす。14日に 新年のご祈祷をしてもらい 夜に年取りをすることにした。

 今の時代、カマドを使っている家など見かけなくなった。 生活習慣も、大いに変わった。喪中期間中の過ごし方も、今風に随分 省略されてきたともいえる。 それでも、新年会やお祝いの席に 参加できなかった事等、不自由な思いをさせられたし、面倒くさい と思えばそれまでだ。

 科学的・合理的に説明がつかないことを 捨て それが近代化だと思ってきただけだ。それが、近代的 生き方であり、これから将来を約束する道理だとわ思えない。 科学が発達した現在、すべての事柄が、科学的に説明がつき、且つ合理的な生き方をしているかというと、大いに疑問だ。

科学的かつ合理的生き方?を求めるあまり 知識を深めることが目的になっている昨今。生きる知恵に結び付かない知識を貯め込んでも 単なるお遊びの延長線だろう。
   戦後、近代化や民主主義の名のもとに急激に進んだ田舎の風習を切り捨てきた現実に大いに疑問をもってきた。

一昨年3月の東日本大震災それに伴う 東京電力福島原発による放射能汚染問題から
この春 もうすぐ二年目を迎えようとする今。
 昔の先人の知恵ともいえる 風習にもう一度 素直に耳を傾けてもいい。そんな思いを強くする昨今だ。
 単なる知識としてではなく 生き延びるための知恵として いまだに地域に息づいている 風習をもう一度見習いたい。
そんなことを 考えた今年の新年だった。
明日で、その喪があける。 
我が家にも ようやく新年を迎えられる。

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2013年01月13日 23:51に投稿されたエントリーのページです。

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